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Limit battle/4章~新機~

第19話~新たな希望~


修がやっとの思いで見つけたそのあるマシンとは三菱のランサーエボリューションであった。そう、修がずっと欲しくて堪ら

なかった夢のマシンであった。

修「あ・・あった・・!」

そのエボは白い色でC-westのフルエアロで装備、ホイールは白のTE37を履いていた。マフラーはトライアル製であった。

修「すげェ・・コレを待ってた・・!」

彼はすぐさまその店の人にこのエボの詳細を聞こうとした。

っと、その時。もう一人同時に背のまあまあ高くて茶髪の男が修と同時にこう言った。

2人「あの、表の白いエボなんですが・・」

2人は同時に顔を見合わせてビックリした。

修「あ・・アレ?栄治さん!?」

そう、そのもう一人は栄治であった。

栄治「あり?お前は修だっけな!久しぶりじゃないか!」

修「えぇ!で、何でエボの事を?」

栄治「いやな、ただ次の俺の店のTAマシンを作ろうと思ってナ。」

修「へ・・へぇ。」

栄治は修から何かを察してこう聞いた。

栄治「お前、あのイカしたS13どうした?」

そう聞かれた瞬間、修は暗い顔をした。その後、栄治に全て話した。


栄治「そうだったのか・・それは辛かったな。」

修「いえ、栄治さんがTAマシンで必要なら譲り・・」

彼が譲りますっと言おうとした瞬間、栄治の口から思いがけない言葉が・・。

栄治「よし、俺がお前の為にあのエボを買ってやろう!そして、俺が買ってやるんだから俺の望む仕様を付くってそれに乗

って貰う!コレでどうだ?」


修は栄治の言ってる言葉がすぐには理解できなかったがただ事では無い事だけがはっきりした。


その日は栄治と一緒に帰り、家まで送ってもらった。



そして、2週経った週末・・修が学校が終わりに大学の校門から出て来た時、栄治のGC8が停まっていた。

修「え、栄治さん?」

栄治「おう、待ってたぜ。」

彼の車周りにはかなりの人だかりが出来ていて、栄治の方には女性が群がっていた。

修「ど、どうしたんですか?」

栄治「いやな、あのエボが完成したんだ。お前に初乗車してもらおうと思ってナ。お前のだし。」

修「ま、マジすか!」

栄治「ニッシシ!乗りな!」

彼の言葉に乗り車の方へ乗った。


EIJI SPEED

修「な!?何ですか!?コレは!」

彼の前にあったのは物凄く変わったエボであった。

栄治「かなり軽量化を施し空力にも徹底した形だ。ちなみに宣伝もあって俺の店のパーツも少し付けた。」

2人の前にあるのはVOLTEXとHRSが共同で作った05サイバーエボの真っ白版と言っても過言では無い仕様だった。

修「あ・・ありえない・・こんなの・・!すげェ!!カッコいい!」

栄治「ちなみに、この辺じゃこの羽根が一番デカイだろうな。おれ好みだ!」

栄治も話しに力が込んだ。

修は武者震いが止まらなかった。

栄治「さぁ、この化け物を乗ってみろ!」

彼の声は修にとってはムチで叩かれる様な声に聞こえた。


阿神峠麓コンビニPA

栄治「俺は後ろからGC8で追い掛ける。さぁ、行け!」

修「はい!」

彼は返事をしてサイバーへと乗り込んだ・・

中身はナビシートを残してドンガラ・・良く見るとガラスがアクリルとなっている・・

修「すげェ・・かなりの軽量化って・・この事だったのか・・!」

彼はまた武者震いをした・・収まった所で修はエボのエンジンをかけた。

4Gサウンドが峠に響き渡った!


第20話へ続く。


第20話~新車とニューデザイン~


栄治が作ったエボをシェイクダウンし始めた。

修「すげぇ・・なんだこの加速!一気に3速だ!」

スタートし始めてすぐに3速へ入っていた。その異様なまでの加速力、速さにビックリしてしまう修・・

そして、最初の右ヘアピン・・恐れが強いのか慎重なグリップでヘアピンをクリア・・と、そこで修は気が付いた事があった。

修(何だよ・・このレスポンス・・ありえねぇ!)

そう、気が付いた事とはエボのレスポンスを最大限まで引き出されている事だった。

修「栄治さん、サンキュッ!」

後ろで見ていた栄治は思っていた。

栄治(四駆を始めて運転したにしちゃぁ・・上手すぎだろ・・何なんだ?)

彼は修の運転を見てそう言った。修のドライビングかなりの所まで登り詰めていたらしく、栄治の目でもそう見えた。

修「コレなら踏める・・いける!また走れる!」

――と、修は徐々にペースを上げて来た。左ヘアピンが近づく!

栄治「おいおい・・そのスピードでどうするのだよ・・」

前を走るエボは減速!ややスライド気味でグリップをする!

修「いけるいけるいける!コレは最高だ!」

彼はこのマシンをべた褒めし、峠を登って行った――


阿神峠頂上PA

PAには修と栄治が登り切って車を停めていた。

修「このマシン、ホントに凄いですよ。レスポンスと空力が凄いです!」

栄治「だろうな。そんなセッティングしたんだからさ。まだ足の方を合わせる必要もあるが。ま、今週には完成するぜ。後は

コイツにフェンダーをプラスしてやっか!」

修「うわぁ・・どんどん凄くなりますね!」

2人でいろんな仕様を構成しながら時間が経ち、しばらくしたら修はまた下に下り、EIJI SPEEDにエボを預けた。帰りは

また栄治に送って貰った。


翌日、上機嫌で大学に通学した。

その様子を見た美雪は修に聞いた。

美雪「どうしたの?昨日とは態度が正反対だよ?」

修「そか?ま、嬉しい事があってな!」

美雪「ふふ、良かったね。あ!私のスープラも今週戻ってくるよ!ついでにエアロを変えたの。」

修「へぇ、何処の?」

美雪「TRDよ。TRD3000GTボディキット!あの綺麗なラインが気に入ったの!」

修「しかし、すげェワイドボディだな。」

美雪「でも、修君が元気戻ってよかったわ。」

修「悪ぃ。心配掛けたな。」

っと、急に前の席の真も話しに割り込んで来た。

真「お前やっと喋ったな!あ!今週峠行かね?」

彼の一言で修はニヤッと笑みを見せ頬に笑窪を作る。

修「いいね。俺は自分で行くから。」

真「っへ!兄貴の車でも借りてきな!」

修「了解!」

2人が話してるのを見て美雪も何時もの風景が戻った感じがして嬉しくなっていた。

っと、真の横の席の里香が美雪に話しかけた。

里香「ねぇ、美雪ちゃん。」

美雪「ん?なぁに?」

里香「この前修君中古車屋で見たよ?白いランエボの前でボーっとしてたよ?」

美雪「え・・エボ?ホント?」

里香「うん。その後は良く分からないけど嬉しそうな顔で店の中に入って行ったよ?」

美雪「へぇ・・」

彼女は修の方を少し見て里香に「そういえば里香ちゃん車あるの?」っと聞いた。

里香「うん。一応ね。」

美雪「持ってるんだ!じゃぁさ!修君達が峠に行く時一緒にどう?」

里香「うん!行ってみたいな!」

2人でまた話を組み立てて行った。その後修達に話してOKと言う事になった。


そして、週末・・修は家に居た。

修「お・・来たな。」

彼の耳にはスープラの2JZの直6のエンジン音が聞こえて来た。

修はそれに合わせて家の前に出た。そこに来たのはTRD3000GTボディキットで武装した白い美雪のスープラだった。

美雪「お待たせ!」

修「待っては無いぜ。じゃ、ちょっと峠の前に行って貰いたい所があるから行ってくれない?」

美雪「うん。」

彼女はスープラを発進させた。


EIJI SPEED

店に着いた美雪のスープラ・・助手席から修が出て来て店の中に入って行った


しばらくして修は店の扉から栄治と一緒に出て来た。

栄治「さ、コレがお前のだぜ。」

彼にガレージまで案内されてそこで見たのは、前の仕様にプラスされVARISのTAフェンダーを装備され、ホイールがインチア

ップされていた。

修「す・・すげェ!このフェンダーがすげェ!」

彼はすげェの連呼だった。

栄治「そう言って貰えると俺も嬉しいな。さ、もうお前の物だ。好きに使いな」

修「はい!」

彼はそのままエボに乗ってガレージから出た。

車の外に出てた美雪はそのエボを見て驚いた。驚かない筈が無い。

美雪「うわッ!凄い!何そのエボは!?」

スープラの横に並べたエボから修が出て来て美雪に「俺の新しい車だ」っと威張った様な口調と態度で言った。

2人はその場で少し話した後、阿神頂上へ向かった――


第21話へ続く。


第21話~vs俊介~


阿神峠頂上へと到着した修と美雪。そこには真と真がもたれ掛かっている240ZGと、近くに里香が居た。

真「お。すげェェ・・何あのエボ。サーキットの帰りかな?」

と彼は冷静に考えて餡パンを食べながらそのエボを見回していた。

里香「すごいネ!あのランエボ!」

真「そうだなぁ。後ろのスープラは美雪のだろうが、修はどうしたんだ?」

里香「あのランエボだったりしてw」

真「まっさかぁ・・」

里香「そんな事無いよね・・」

そのランエボは先にスープラが自動販売機の前に停め、その右側へ停まった。

白いTRD3000GTボディキットのスープラからは美雪が出て来た。

里香「あ、美雪ちゃーん!」

美雪「里香ちゃんもやっぱり着たんだね!楽しくなりそうだわ!」

真「よう、修は?」

美雪「もう着てるわよ?あそこよ。」

彼女が指差したのはさっきの白いランエボだった。

真「え・・。」

里香(また当っちゃった・・。)

そのランエボの近くに真達の方へ歩いてくる修が居た。

修「よう。何そんな驚いた顔してるんだ?」

真「いや・・だって・・え?エボ!?」

修「あ?だって言ったじゃないか。俺は自分で行くって。それは自分の車で行くって事だったんだぜ?」

彼は真を嘲笑うかの様に鼻で笑った。



真「まぁ・・いいや。すげぇじゃん!おま・・」

彼が話していると途中から行き成り「なんだあの下品な面は。」と言う声がした。

修「ん?あいつは・・。」

彼の目線には前夏に出会った俊介と言う男がいた。修のランエボを見て愚痴っていた。

俊介「それにあの羽根はなんだ?ジャンボジェット機じゃねぇんだ。コレは無意味だろ。」

色々と修のランエボに対しての批判を上げていた。

俊介「後このフェンダー・・あーぁ。気持ち悪さを引き上げてるな。駄作じゃん。」

彼の最後の言葉でカチンと来た修は怒りを鎮めながら俊介に言う。

修「どうです?俺のエボは・・」

俊介「あ?コレお前の?前のS13はどうした?」

修「!?」

どうやら俊介は修の事を覚えていたそうだ。

修「S13は訳があって廃車になりました。」

俊介「ほぉ。よっぽど酷い相手に当ったのな。大変だったな。」

修(さっきの言葉ではムカッて来たけど・・そうでも無いかもな・・この人。)

彼はそう思って居た時、俊介が修に尋ねた。



俊介「ところで、何でランエボ何かにした?お前。佳山 陽介の弟だろ?腕はそこそこ出来るとは思うが・・まさか、性能に逃げた

って事は無かろうな?あ?」

修「逃げてなんか居ません。憧れの・・夢の車に乗るのが悪いとアンタは言うのか?」

俊介「あー、わーかった。わーかった。悪かった。しかし、俺は四駆の性能だけに頼るヘボは嫌いなだけなんだよ。お前がそこまで

言うのであれば・・俺がその腕を試してやるよ・・四駆に頼って居るか居ないかをなぁ。」

修「・・はい、俺もそんな事を言われるのは尺なんで・・お願いします。」

とうとう、表向きの阿神最速の男、俊介とのバトルをすることになった修。このバトルの結末はいかに!?


第22話へ続く。


第22話~vs俊介~


互いに睨み合い、しばらくし修は俊介に背を見せながらランエボに乗り込む。

俊介(・・幾ら嫌いな四駆だからと言って全てを嫌いな訳じゃないんだ・・が。俺が相手にして来た四駆は皆腐ってやがった。

全ての奴が四駆の性能がどうのこうのって乗せられているだけの腐り切った奴らばかり・・さぁて、お前はどうだか・・。)

そう思いながら修がランエボに入って行くのを確認して自分のFDに乗り込む俊介。


2台のマシンがスタートラインに着いた。

俊介「バトルのやり方だが・・そうだな。今雲で月が隠れているだろ?その月が少しでも姿を現したらスタート。コレは反射神経と視力で

スタートでの順位が決まる。俺が四駆と戦る時に必ずやる事だ。トラクションでは流石に劣るからな。」

修「わかりました。」

彼がそう言いお互いウィンドウを閉めた。

彼等はジリジリと雲が動いて行くのをジッと見つめ、時がゆっくりと経つ―


そして、雲が動いてる中・・白く大きな月の隅が雲から出て来た。

修(今か!)

っと、彼がそう思った時には既にFDはスタートしていた!

修「速ッ!?」

ランエボも少し遅れてスタート。そのスタートの一部始終を見ていた真達は驚いた。

真「おい、あのFDの野郎・・俺が見てても月が出たと殆ど同時にスタートしてやがったよ・・一体何なんだ?」

美雪「ホントね・・私もそう思った。」

里香「修君は少し出遅れちゃったみたいだけど・・大丈夫かな?」


戦いの火蓋が落とされた・・2台は連続ヘアピンに入った。

俊介「ほぉ。上手いじゃん。一応俺の言う”腐った奴”では無いな!」

FDはコーナー一つをややスライド気味で抜けて行く。

対してランエボの方はグリップで攻めている。

修(あの人・・大きな口叩くだけある・・あの走りまだ余裕を残して居るな・・)

連続ヘアピンを抜けた2台。FDの後ろを2捨身空けたぐらいにランエボが居る。

俊介「着いて来てるな。コイツァいいぜ。オモシレー事を起こしてくれよ!修!」

シフトレバーをムチの様に扱ってギアを上げる。

修(っく!)

ランエボもシフトアップ。っと、修はそこである事に気が付く。

修(あれ?2速から3速に上げた時の伸びがいい・・それに立ち上がった時の加速も・・栄治さん・・アンタ最高だぜ!)

口元を歪めてニヤッと笑う――

この阿神の一番長い直線。ここでランエボが一気にFDに追い付く。

俊介「へー。この最軽のFDに追い付くか・・まァ馬力は350ちょっとだからな。当たり前っちゃ当たり前だな。」

FDが先に右コーナーへ侵入。緩く曲がるコーナーを軽やかにクリア。修のランエボもグリップで直線で縮めた差を潰さない様に

慎重にコーナーをクリア。

その後、若干長めの直線が続きそこでまた差を詰める。そして左右にうねるコーナーもクリア。そしてギャップで始まってギャップで終わ

る橋。始めのギャップでFDのフロントが少し浮いて着地。ランエボはジャンプと同時に下周りを地面に擦り火花を散らす。そして着地

してまたフロントバンパー付近から火花。

修「やべ・・ガリっていった・・が、追い付き始めた!」

橋の出口。終わりのギャップがある。そこのギャップは左に曲がりながらあるギャップ。

スライドしながら抜けたFDはリアをギャップに乗せリアが跳ねる。着地でリアのホイールハウスがタイヤに擦る。

ランエボはグリップで走って居るのでギャップ手前でブレーキ。そして、フロントがインにグイグイ入って行く。

修「すげェ・・栄治さんのセッテのお陰だ・・頭がグイグイ入ってく!コレならラストスパートがかけられるぞ!」

少し走り右ヘアピンに差し掛かった。

俊介「ここまで持った走り屋は居なかった・・やっぱりお前はすげェ奴だ!見直したぜ!」

FDは修を認めた事を表す様に先ほどのドリフトとは変わった激し目のドリフトでヘアピンを抜ける!

修「―走りが変わった・・なら、そろそろ勝負を着ける気か?なら俺もそれに乗ってやる!」

彼はグリップしながら右ヘアピンのインを思いっ切り挿した!と、そこの縁石に近い歩道を使ってフロントを載せてショートカット!

フロントを載せたと同時に多少火花が上がったが大して意味が無い。

そしてその後の左ヘアピンも優々と2台はクリアして行く。


そして――阿神の名所、中間セクションを意味する魔のコーナーへと侵入する2台!

俊介「さぁ、あの陽介の弟なんだ。見せてくれよ!その腕!ここからが本番だ!」

FDはコーナーとは逆方向に車体を振り、向きを戻して振り替えしで魔のコーナーをクリア!

修「っく!上手い・・!」

しかし、修はここで何かを開花させた様に表情を変えた。

修(俺だってやってやるさ。兄に最速を持っているんだから!)

彼のランエボはコーナー前でフルブレーキ!すると、フロントがインに入りながらリアがスライド!

ランエボの四輪ドリフトを決めた!

そのまま直線がちょっと続く。魔のコーナーでの立ち上がり加速で修のランエボガ上回りちょっとした直線でFDとサイド・バイ・サイド!

俊介「・・いつの間に・・っく!」

2台横並びで右左の緩いコーナーを2台並びながらクリア。そして左のコーナーへと飛び込む2台。インを取ったのは俊介のFD!

しかし!そのFDのドリフト走行の横にランエボはフロントタイヤを路肩に乗せ、四輪ドリフトでツインドリフトを決めていた!

俊介「ぐ・・!」

2台はコーナーを抜けた。立ち上がりで前に出たのは――

修のランエボだ!

修「ッシャア!!」

FDはランエボのリアに着いた。

俊介「畜生・・だけど・・アイツは腐っては居なかった・・新しい新時代を生み出す様な感じすらした・・アイツに負けたなら納得。

さぁお前の勝ちさ。早く麓まで下っちまえ。」

彼は自分が負けた事を自覚し、最後まで粘る事をせず先に修を行かせた。

そのまま修がゴールしこのバトルは幕を閉じた――


第23話へ続く。


第23話~DESTINYメンバー~


阿神峠麓コンビニ駐車場。そこに修のランエボと俊介のFDが停車されていた。

俊介「・・負けだよ。認めてやるよ。お前は強い。多分あのS13でも相当な速さだったと思う。」

修「俺もギリギリでした。あのコーナーからここまでそんなにもうコーナーが無かったんでヤバイと思いましたが・・。」

俊介「いや、それでも勝ったんだ。大した物だ。俺からはもう何も言う事は無い。だが、阿神を走っている以上また会う事になるだろうが

その時は宜しく頼むぜ。」

修「えぇ。」

彼の返答を聞きながら後ろを振り向き左手はポケットに突っ込み、右手で修に手を振りながらFDに乗り込む。

そのまま街の方へと白いFDは姿を暗ましていった。



翌朝、修は祝日だった為EIJI SPEEDへと出かけた。

EIJI SPEEDの駐車場には白いGC8・・コレは栄治のGC8であろう。それと一緒に銀のFD、それと銀のBNR34と銀のBCNR33・・

修(なんだ・・この3台は?見た事ねぇな。)

彼が3台のマシンを見ていると店の中から人の声が聞えた。

???「―では、私は店へと戻ります。チームの件では私の兄と話をしてください。」

店のドアが開き、そこにはやや背の高めの黒髪の男が出て来た。

修と眼が合うとニコッと笑い会釈をするその男。それを見て修も同時に会釈。

その男は銀のBCNR33に乗ってエンジンを掛けた後、アクセルを2~3度煽ってからバックギアに入れて方向転換してEIJI SPEED前の

大通りを駆け抜けていった。

修(いい音だ・・腹の底からグッと来る感じだ。)

っと、続いて栄治とその後ろに2人の男が現れた。

修「あ、栄治さん。おはようございます。」

栄治「よう、修じゃないか。エボの調子はどうだ?」

修「それがメチャメチャ調子がいいですよ!ホントにありがとうございます!」

栄治「なーに、気にすんな!あ、後さ。車検の時には俺の所に持って来いよ。アレ勿論車検対応して無いから車検の時には元に戻す。

ま、終わったらまたあの仕様に戻すがな!ニシシシ!」

すると、栄治はハッと思って修に後方の2人の紹介を始めた。

栄治「おっと、そだった。後ろの二人を紹介しよう。あのFDによっかかってるのが穂神 夏弥って言う。」

夏弥「宜しく・・。」

修「宜しくお願いします!」

栄治「で・・そのR34・・しかも、何気にZ-tuneだぞ。本物!」

修「え!?本当ですか!?(あれ?この人何処かで見た気が・・」

彼はZ-tuneに寄り掛かっている人を見てふと思った。

栄治「そのクールな男は木内 雅道。現役バリバリで活躍中のF1ドライバーだ。」

修「え!?雅道って・・あの!?」

突然の大物にかなり戸惑いを隠せない修。無理も無い。今シーズン殆どのレースで表彰台に上がっているからだ。

雅道「・・宜しくな。」

一通りの挨拶が済んだ所で栄治が修にある事を言った。

栄治「修、お前今度EIJI SPEEDとRfactry主催の走行会に参加してみないか?勿論お前の仲良しな友達も連れてきてもいいぞ。

俺がゆるす。」

修「サーキットですか・・いいでね!ちょっと他の奴も誘って見ます!」

栄治「うむ。」

その後、まだ少し話していた4人だった。

数十分後、修はランエボに乗り由比から静岡へバイパスを使って向った。

真と美雪の呼び出しが掛かったからだ。今日は少し気分転換で日本平へドライブがてら行こうと言う。


1時間後、修は静岡の自分の大学の近くの大き目の駐車場へと到着。ここで真と美雪と待ち合わせている。

先に真の240ZGが居た。

修「よう、早いじゃん。」

その声で振り向く真。その手にはあったかいお汁粉があった。

真「あぁ。まぁね。俺は待ち合わせ時間より数分早く来る主義だかんな。」

修「なんだそれ?ただ早くそこのコンビニ行かないとそのDXお汁粉無くなるだけだろ?」

真「っぐ・・んなこたぁ無い!」

少し焦った真。それを見て笑う修。っと、そこへ歩きで来た美雪。

美雪「遅くなってごめんね!」

修「アレ?お前スープラは?」

美雪「今ね、お姉ちゃんが東京から帰って来てて、ちょっと買い物に貸してって言われたから歩きできたの。」

修&真「姉貴!?居たの!?」

意外な事実を今更露にされてビックリした2人。

3人集まりとりあえず車に乗り込む3人。美雪は修のランエボへと乗る。

真「美雪。何でこっちにゃ乗らんの?」

美雪「だって旧車って何か乗り心地悪いから・・。」

真「んな!?そんなこたぁねぇ!」

修「はははは!」

そんなやり取りをしながら駐車場を出た御一行。向うは日本平!そして、目的は単なるドライブ。


第24話へ続く。


第24話~ドライブがてら―~


2台の車は一般道を走って日本平へと向う。その途中、信号で停まると必ず修のランエボには通行人の目が行く。

修「っかー!この刺す様な視線がたまんねぇな!そうだろ?美雪?」

美雪「えー・・恥ずかしいじゃん。」

修「・・のらねぇ女は好かれねぇぞ?」

美雪「うるさいなぁ!」

修「あーすません。さ、青だ。」

信号が変わりニュートラルから1速へ入れてゆっくりと加速していく。


PM.1:00日本平付近のカフェ

昼食をとる為にカフェへと入っていった。外の駐車場の240ZGとランエボは見る人から見れば絶景である。

店員「いらっしゃいませ。ご注文は何にいたします?」

修「えーっと・・俺は・・じゃ、エスプレッソをとりあえず下さい。」

美雪「私はミルクティーで。」

真「お汁k・・ホットココアで。」

店員「かしこまりました。少々お待ちください。」

注文を聞いた後に一礼して戻って行った店員。

飲み物が届くまで雑談を始めた3人。

真「っで?いっその事だ。はっきり聞くぞ?お前等。」

修・美雪「何?」

真「何処まで行った?」

修「・・は?」

美雪「・・・。」

真「いやさ、お前等仲が良すぎるし大学でもかなりアレだし・・周りからは付き合ってるって噂もあるぜ?」

修「ノーコメもある。こんな俺でもな。」

美雪「そ、そうだよ!」

真「無機になるなって。アハハ、おちょくり易いなぁお前等!」

彼の言葉にイラッとして修が。

修「お前さん何時頃天へ召されたい?」

真「すみません。」

美雪「ハハハ。」

雑談している最中、店員が飲み物を持って来た。

店員「お待ちどうさまでしたー。エスプレッソとミルクティーとホットココアです。」

修「あざます。」

3人は飲み物が来てそれを飲みながらまた色々と話をしていた。


PM.2:00

修「さて、そろそろ日本平いっか?」

真「そだな。1時間も話してたからな。」

美雪「私がお金払って置くから先に外に出てていいよ。」

修「悪いね。頼むわ。」

美雪を置いて先に外に出た修と真。自分の車の方へ歩いて行き愛車のエンジンを掛けた。

彼等はランエボと240ZGはアイドリングさせながら美雪が来るのを待った。しばらくして美雪が来た。

美雪は修のランエボに乗り込んだ。


日本平―麓

日本平の麓へと着いた御一行。まず車から降りて一呼吸。日本平の空気を肺一杯に入れて吐き出した。

修「はぁー。やっぱ阿神とは空気が違うな。まずい。」

美雪「え・・」

修「嘘。味なんかわかんねーよ。」

日本平の冬の空気は風によって余計に寒くなっている。

すると、黒い70型スープラが峠を物凄いスピードで下って来た。

修「うわ・・いかにもって車だな。」

しばらくして荷台に白いR33を乗っけたレッカー車が下って来た。


そろそろ車で登るぞって頃に先ほどの70スープラが修達の前に現れた―


第25話へ続く。


第25話~今年最後~


修達の前に現れた黒い70スープラ。中からサングラスを掛けて髪の毛が肩位まで届いている長髪の男が出てきた。

その男は修のランエボ、真の240ZGを見て話しかけて来た。

???「おい、お前等ここらの者じゃねぇな?」

修「そうですが・・。」

彼がそう言うと口元を歪めて言い出す。

???「俺は高野 潤也。ここらを走っている。そこで、だ。お前等。俺と車を賭けてバトルでもやってかないか?」

修「すみませんが丁重にお断りします。賭けなんて俺はやりませんしこいつ等もやりません。」

潤也「っけ。面白くもねぇ。ビビリが。さっきの白いR33の奴なんか何回も俺に挑んで負けてるのに・・それでも諦めねぇのによ。」

真「そいつはよっぽどのバカかアホだな。一回やって懲りろっての。」

急に口を挟んだ真。言葉には棘があった。しかし、言っている事は正しい。

修「そうだな・・賭けなんかやって後悔するのは嫌だし。」

潤也「・・まともな事抜かしやがる・・まぁそうだろうが、俺が言いたいのはその位の勢いを見せろって事だ。糞野郎。」

修「その手には乗りません。幾ら言われてもやる気ありませんから。」

しばらく睨み合うお互い・・切り出したのは潤也

潤也「そうか・・なら仕方ない。俺は今からあのR33を売っ払う事を先にしないとならないからな・・覚えてろよ。」

彼は自分の70スープラに乗ってアクセルターンで方向転換して街の方へと走っていった。


修「・・たく。」

彼にある事を言い始めた美雪―

美雪「そう言えば、さっきのあの人・・ここ峠で賭けバトルばっかりやってお金を荒稼ぎしてるって人だよ・・関わらない方がいい

と思う・・。」

彼女の言った事を間に居れ「そうだな。」っと一言呟く修。

真「さ、あんなの忘れてさっさと上に行こうぜぇ!」

3人はすぐに気分を切り替えて車に乗り込み頂上を目指して車を走らせた―


日本平に行ってから1ヶ月と10日・・この日は大晦日であり年の最後の日。

PM.21:00―佳山家

修と陽介が一階の居間のコタツに入ってTVで紅白を見ていた。3人の他に台所には修と陽介の母親が雑煮など食べ物を作っていた。

それを手伝う香苗。

年が明けるまでのんびり過ごしていた。すると、家のインターホンが鳴る。

???「おーい。帰ったぞー。」

男の声だ。

修「誰?」

陽介「親父じゃないか?」

彼の予想通り彼等の父親であった。

彼等の父親、佳山 靖樹はアメリカの医大で教授をしており年に一回・・最悪数年帰って来ない。今日は3年ぶりにアメリカから

帰還したのだ。その為、陽介が結婚した事は知っていたものの、実際に香苗を見るのは初めてだ。

靖樹「おぉ・・君が香苗さんか!結婚式に行けなくてすまなかったな。」

香苗「いえ、始めましてお父さん。これからよろしくお願いします!」

靖樹を出迎えたのは香苗と母親・・佳山 未奈だけで、修と陽介はボーっとしながらコタツに入って蜜柑を食べていた。

未奈「こら!修!陽介!お父さんが帰って来たんだから出向え位しなさ!」

修「んー。」

陽介「あー。」

彼等はTVを見ながら素っ気無い返事をした。そんな2人を見て未奈が「はぁ」と息を吐く。

靖樹「おう!帰ったぞ!っと・・修。ガレージのあの派手な車。お前のか?」

修「ん?あぁ。そうだけど?」

靖樹「へぇ。随分と無駄遣いしてそうだな。」

彼はネクタイを緩めながら笑いながら言う。

靖樹「俺の車も乗ってみたらどうだ?フェリーでアメリカから帰って来たから車も持って来たぞ!」

修「え!?マジ!?」

彼は急いで赤いちゃんちゃんこを着て外に飛び出した。そこにはガレージ陽介のS15と修のランエボ、香苗のS2000の他に黒のアストン

マーティンV8バンテージが停められて居た。

修「アストン・・!すげっ!」

彼の後ろから靖樹の声「ホラ、カギだ。」

靖樹は修にカギを受け渡した。

修「んじゃ・・その辺一周してくるよ・・。」

彼はV8バンテージに乗り込んでキーを挿し込んだ。手首を捻ってエンジンを掛ける。

『ウロロロ・・』っと言うエンジンが回り始めた時に鳴る音の後に強烈なV8DOHCの音が鳴り響く。

修「ぐわ・・。」

っと・・彼は気圧されV8バンテージから降りた。

靖樹「なんだ?どうした?」

修「いや・・俺怖くて乗れネェ・・」

彼の発言に腹を抱えて笑う靖樹。「なんだよ、そんな車に乗ってるのにだらしがないな!」と修に言う。

修「仕方ねぇじゃんかよ!」

2人はこのやり取りを5分続けた―


PM.22:15

家族全員が落ち着いた所でコタツに5人全員集まってTVを見ていた。

―とそこにまたインターホンがなる。

修「・・母さん行ってきてぇー。」

未奈「お父さんお願い。」

靖樹「はいよー。」

回り回りで靖樹に来たが、彼は快く引き受けた。

靖樹「はいはい、どちら様ですかー?」

そこには真と美雪、そして里香が居た。

真「あ・・えーっと・・修君居ますか?」

靖樹「あぁ!修の友達か!ちょっと待ってね。おーい!修!友達ー!」

彼はその場で大きな声で修を呼ぶ。居間の方から「声でけぇ糞ジジイ!」と修の声が返ってくる。

修「よう。何しに来た?」

真「何って・・お前っ家で年越ししようかなって。」

修「・・暇だなお前等。ま、いいや上がってけ。」

3人「お邪魔しまーす。」

修は3人を自分の部屋に入れた後、家族には友達と部屋で年明けすると告げた。

陽介「あの娘も着てるのか?」

修「あの娘?」

陽介「あー・・えー・・綾川さん。」

修「あぁ。」

陽介「そうか、年明けならいい機会だ。頑張れよ。このプレイボーイ。」

修「死ね。」

彼はそう言い放って部屋へ向った。


部屋では何時の間にか3人の持参物が広がっていた。

真「おう、お前の部屋すげェ広いな!俺の部屋の2倍だ!」

美雪「私は二回目だけどね。この部屋来るの。」

里香「何!?美雪ちゃんもしかして問題発言!?」

修「広くなんか無いし。俺の物で散らかり過ぎてる。ほら、S13から大事なものって・・ヘッドライトの残骸とかあるし・・。」

真「要するにそれは形見だな。」

修の気がドンヨリとした。

真「す、すまない!そんな気は毛頭無かったのに!」

修「何てな。」

部屋は4人の賑やかさで暖かくなった。


PM.23:58

年明けまで後2分・・修達は騒ぎ過ぎて逆に五月蝿くなっていた。

修「・・あ、そろそろカウントダウンが始まるな。」

真「ホンマや・・あ!何で関西弁?アハハ!」

彼は自分で自分にツッコミを入れた。結局スベッたが。


時間が残り10秒となった頃、4人は一斉にカウントを始めた。

修「9・・8・・」

美雪「7・・6・・」

真「5・・4・・」

里香「3・・2・・1・・」

4人「ゼロ!!!」


―年が明けた。ここでまた新しい1年が始める。

真「さぁ!皆!今年の目標を言って行こう!まず俺!俺のZのレストア代が出来る事を!」

里香「私は今年こそ阿神峠の白いGC8に乗ってる人とお話したいなぁ・・。」

美雪「私は・・特に無いけど、もうちょっと走りの腕を上げたい!」

ラストは修になった・・皆が修の目標を期待していた。修は右腕の肘を机に立てて手を頬に当てながら答えた。

修「・・プロを目指す!・・なんて、な。」

彼の一声に五月蝿さから一変、辺りはシーンと鎮まり返った――


第1部~完~

第2部・第28話へ続く。


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